オバマ大統領から学ぶ統合マーケティングコミュニケーション

昨年の2008年11月5日、21カ月間もの長期にわたる歴史的な大統領選挙が終了しました。多様性の象徴である米国をとひとつにまとめあげていったコミュニケーション力は各界から賞賛されました。今回は統合マーケティングコミュニケーションの観点から、オバマ氏のキャンペーンを考えてみました。


Marketer of the year for 2008

オバマ氏は米国でアップルやナイキを退け、アドバタイジング・エイジ誌が選ぶ「Marketer of the year for 2008」に選ばれています。オバマ氏のコミュニケーション力の高さを示す一例でしょう。1位のオバマ氏は36.1%、以下、2位 Apple 27.3%、3位 Zappos 14.1%、4位 Nike 9.4%、5位 Coors 8.7%、6位 McCain 4.5%となっています。
オバマ氏が注目を集めましたのは、2004年の民主党大会のスピーチと言われています。しかし、2007年2月の大統領選挙出馬表明の時点では、一般の有権者にとってはまだまだ無名に近い存在だったそうです。そして、翌2008年11月4日に44代米国大統領として選出されるまでに、オバマ氏は強力なブランドイメージを確立することに成功しました。


リアルな活動とWeb2.0・・・

この間のオバマ氏の活動は、Web 2.0的なコミュニケーション活動で知られています。公式サイトからさまざまな情報を発信するだけでなく、YouTubeFacebookTwitterなど、“Web 2.0”的なコミュニケーションへの入り口を多数用意することで、ネットユーザーの議論やクチコミを活性化しました。YouTubeでの再生回数は8700万回。YouTubeに開設されたチャンネル「You Choose '08」が大統領選挙での一種のポータルサイトとして機能した(日経産業新聞2008年11月4日付け4面)のは良く知られるところ。オバマ氏の選挙資金の多くはネットを見た人たちからの小口献金だったといいます。


ブランドメッセージに集約されたコンテンツとビジュアル・・・

オバマキャンペーンのスローガン「Yes, We Can!」は、世界中の人々の脳裏に刻み込まれました。「The Ultimate Driving Machine」のBMW、「JUST DO IT」のナイキ、「Think different」のアップルなどと同様、ブランドメッセージとして。
しかし、うまく活用したとはいえ、YouTubeなどはあくまでメディアに過ぎません。核となるのはコンテンツ、すなわちオバマ氏のスピーチです。それは、27歳のJon Favreau氏によるものでした。
もう一つブランディングの観点から見たオバマキャンペーンの大きな特徴は、視覚面におけるイメージの統一性です。オバマキャペーンのロゴマークは、視覚面でオバマブランドの構築に貢献しています。例えば、Facebookオバマ氏のページには対象セグメントに分けた11のサブカテゴリーがあり、ロゴマークから派生させたサブロゴマークを使用したそうです。通常では、あり得ない“キメの細かさ”です。

Web2.0を背景に、コンテンツとビジュアルとのシナジーを最大限にまで高めたのが、オバマ氏の統合マーケティングコミュニケーションだったでしょう。

(以上)