負のマインドシェアを生むコミュニケーションの矛盾

マーケティングプロセスはAIDMA 、あるいは最近ではeコマースのマーケティングモデルからAISAS ともいわれます。このプロセスで前提となっているのが、いずれのフェーズでもグッドウィル(好感)を醸成するということ。今回は、グッドウィルをつくりだそうと多額の投資をしているにも関わらず、負のマインドシェアを生んでいるケースを一例から考えてみたいと思います。

プロがメディアでつくる負の感情

マーケティングプロセスに限らず、すべてのコミュニケーションにおいて好感度を醸成し、レピュテーションを高めることは目標のひとつです。そのため、メッセージを受け取るオーディエンスのマインドに対する配慮は当然なされるべきで、なされているものと考えていました。しかし、期待に反するインプットはときには反感を生み、ときには嫌悪さえ感じることがあります。

コミュニケーションのプロが関わっているにも関わらず、メディアを通じてそんなことが起きてしまうのです。相手の期待に応えることがコミュニケーションの基礎要素であることくらい、当然熟知している人が関わっているにも関わらず、です。

多額の投資で負のマインドシェア?

例えば、民放のスポーツ中継。ライブにも関わらず、CMという侵入者は、容赦なく、視覚と聴覚を浸食します。CMの間に、贔屓のチームが失点したら視聴者はどのような感情を持つのでしょうか。すくなくとも、スポンサーに対して好感を持つとは思えません(つい最近もサッカー日本代表の試合でありました)。

ライブで観戦しようという人はそのスポーツ、あるいはチームが好きだからです。そんなときに邪魔され、しかもその間に贔屓のチームが失点してしまったら・・・そのとき流れたCMが飲料メーカーのものだったら、少なくとも数日はそのメーカーのドリンクを手にしたくないと思うのは私だけでしょうか。スポンサーは多額の投資をして、ゲームと番組をスポンサーし、CMを流しているにも関わらず、負のマインドシェアを生み出しているのです。せめて、ハーフタイムに集中して流してくれれば、と思います。ハーフタイムのコメントに感心することはほとんどないのですから(個人的には、コメントを聞くくらいなら、翌日の日経のスポーツ面を読むべきだと思います。番組の途中に入るCMの音量が、規制内とはいえ、これでもかというくらい上げるのもどうかと思いますが)。

スポーツを後援し、番組スポンサーとなり、CMに投資するほどのメジャーブランドを持つ企業なのですから、もっと度量の大きなスタンスを保ってもいいはずと思うのは私だけでしょうか。

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